ジャグリングメーリングリスト FAQ



Q:552や441などの数字は、何を表しているの?

A:[1998/06/10: 松岡 顕 (GBA03100@nifty.ne.jp)]
  サイトスワップ(siteswap)という、ジャグリングの表記法です。
 注意:以下の文章は、幅を揃えた表が含まれています。
    等幅フォント(一文字の幅が等しいフォント)で読んで下さい。

< サイトスワップ siteswap >
 siteswapとは、数列を用いたジャグリングパターンの表記法です。これを知っ
ているだけで、かなり多くの技を表すことが出来ますし、新しい技を考える上で
も役に立ちます。基本ルールは、わずか2つだけです。

 1. ボールは同じ間隔で、左右交互に投げる。

 時刻0に右手で投げ始めたなら、偶数の時刻には右手で投げ、奇数の時刻には
左手で投げます。以後、この時刻を単位として、時間を表します。
 時刻   0  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 11 
 投げる手 右 左 右 左 右 左 右 左 右 左 右 左

 2. 数列の値は、投げたボールを次に投げるまでの時間を表す。

 例えば、時刻1にボールAを5のパターンで投げたなら、次にボールAを投げるの
は、時刻6(=1+5)になります。数字が大きいほど、高く投げて下さい。1、2のル
ールを合わせると、数が奇数の時は反対の手に投げ、偶数の時は同じ手に投げる
ことが分かると思います。

 数列が終わりになったら、始めに戻って繰り返します。
    ("3"=33333……、"441" = 441441441……)。

 0は手が空の状態、
 1は素早く反対の手に渡す、
 2はボールを手に持ったまま投げないとします。

 ボールの数は、パターンの平均値に等しくなります。
    234 ……(2+3+4)  /3=3個
    5551……(5+5+5+1)/4=4個
    91  ……(9+1)    /2=5個
 証明が気になる方は、増田和悦さんのwwwページにありますので、ご覧下さい。
    http://www.jah.ne.jp/~emda/siteswap.html

 ボールの高さは、落下時間の2乗に比例します。ボールを手に持っている時間
を1として、siteswapの数字をxとすると、(x-1)/2が、落下時間ですから、ボー
ルの高さhは、次のような式で表されます。(^2は、2乗を表す)
    h=((x-1)/2)^2
実際に数値を入れて計算すると、
    x=3 h=1
    x=4 h=2.25
    x=5 h=4
    x=6 h=6.25
    x=7 h=9
    x=8 h=12.25
    x=9 h=16
 5のパターンは、3の4倍の高さに投げなければなりません。異なる数字を含む
パターンを投げるには、この数字の比を覚えておくと役立つでしょう。

 ひとつの数字だけの、最も基本的なパターンは、奇数の時はカスケード(3, 5, 
7,…)、偶数の時はファウンテン(4, 6, 8,…)と言います。3ボールのカスケード
がどのようなパターンになるか、表にしてみましょう。1行目は時刻、2,3行目は
siteswapの数字、4,5行目は、投げるボール(ABC)を表します。

パターン:3 ボールの数:3
 時刻 0  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 11
 右  3     3     3     3     3     3
 左     3     3     3     3     3     3
 右  A     C     B     A     C     B
 左     B     A     C     B     A     C

 次に、もう少し本格的なsiteswapの"441"を表にしてみましょう。

パターン:441 ボールの数:(4+4+1)/3 = 3
 時刻 0  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 11
 右  4     1     4     4     1     4
 左     4     4     1     4     4     1
 右  A     C     A     B     A     B
 左     B     C     B     C     A     C

 siteswapでは、手の動かし方は、決められていません。普通は、肩の下あたり
で受け、それよりも内側で投げますが、他にも様々な投げ方が考えられます。単
なる3カスケードでも、無数の技があります。

 ある数列が、siteswapであるかどうかは、次のような手順で判定できます。
「それぞれの数字から、その数字の分だけ後の数字の下にチェックをする。ただ
し、最後の数字を過ぎたら、始めに戻る。これをすべての数字について繰り返し
たとき、重複無く、全部の数字の下にチェックが付いたらジャグリング可能。」

例:5160
1つ目の5の、5つ後は、最初に戻って2つ目の1。1の下にチェック。
  5160
   *
2つ目の1の、1つ後は、3つ目の6。6の下にチェック。
  5160
   **
3つ目の6の、6つ後は、最初に戻って1つ目の5。5の下にチェック。
  5160
  ***
4つ目の0の、0後は、同じく0。0の下にチェック。
  5160
  ****
すべての数字の下に、重複無くチェックが付いたのでジャグリング可能。

< マルチプレックス  multiplex >
 上のパターンでは、1度に投げるボールは1つだけですが、複数のボールを同じ
手で同時に投げる場合があります。これを表現するのには、[] を使います。[43] 
であれば、同じ手で、同じ時刻に、2個のボールをそれぞれ4、3のパターンで投
げることになります。当然、2個のボールを投げるためには、直前に2個のボール
を同時に受け取っていなければなりません。表にすると、以下のようになります。

パターン:[43]23 ボールの数:((4+3)+2+3)/3 = 4
 時刻 0  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 11
 右  43    3     2     43    3     2
 左     2     43    3     2     43    3
 右  AB    D     A     AC    D     A
 左     C     BC    D     B     BC    D

 ボールの数を計算するには、[]で囲まれた数字を足し合わせて、一つの数字と
して扱います。

< シンクロ  synchronous >
 今までは、左右交互に投げるのを原則としていましたが、左右同時に投げる場
合もあります。左右同時に投げるには、() を使います。(2,4)は、同じ時刻に、
左手2、右手4のパターンで投げることを意味します。
 受ける、投げるの動作は、周期2で繰り返されますから、数字も2の倍数になり
ます。シンクロの場合は、どちらの手にボールを投げるかは、自由に決められま
す。そこで、反対側に投げるときには、値の後に x を付けます。

 有名な、ボックスという技は、シンクロのパターンです。真ん中のボールAだ
けが左右に動き、後の2個は真上に投げます。

パターン:(4,2x)(2x,4) ボールの数:(4+2+2+4)/4 = 3
 時刻 0  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10
 右  2x    4     2x    4     2x    4
 左  4     2x    4     2x    4     2x
 右  A     C     A     C     A     C
 左  B     A     B     A     B     A

< siteswapの例 >
 サイトスワップは、制限を付けなければ、無数に多くのパターンが存在します。
以下、代表的なものをあげておきます。あなたは、いくつできるようになるでし
ょうか?

・2個のパターン
    40(片手2個), 330, 501

・3個のパターン
    51(シャワー), 441, 50505(チェイス),
    60(片手3個), 423, 55500,
    531, 561501, 711, 801, 7131, 51414,
    12345, 5160, 615150, 70701, 81411,
    [46]06020, (4,2x)(2x,4)(ボックス),
    (0,[4x4])(0,4x)(2,4x)([4x4],0)(4x,0)(4x,2)

・4個のパターン
    71(シャワー), 53(ハーフシャワー),
    55550, 5551, 552, 561, 534, 741, 633, 7333,
    61616, 717180, 81717170, 7161616, 1234567,
    [43]23, (4x,6)(2,4x)(6,4x)(4x,2),
    (6x,[4x4])(0,4x)(2,4x)([4x4],6x)(4x,0)(4x,2)

・5個のパターン
    91(シャワー), 75751, 66661, 72727, 56414,
    [62]25, [54][22]2, [54]24,
    (4x,6)(6,4x), (4,6x)(6x,4)

 5個以上の技は、難度が相当高いので、修得するのは困難でしょう。人間
siteswapマシンとの異名を持つBoppo(米)は、6個で様々なパターンを見せてくれ
るそうです。

< アニメーションソフト >
 サイトスワップの数字を与えれば、あとは、機械的にボールの軌跡が計算でき
るので、アニメーションプログラムが多数作られてきました。国産のソフトでは、
筆者が作ったJuggleMasterというフリーソフトウェアがあります。多くの方のご
協力により、各機種へ移植されています。ぜひ一度お使い下さい。

松岡顕によるオリジナル(IBM-PC DOS版)
    http://www.juggling.org/programs/ibm-pc/
増田和悦さんによるx版、Win95版
    http://www.jah.ne.jp/~emda/JuggleMaster.html
Chris De Salvo氏によるMAC版
    http://www.juggling.org/programs/mac/
小西裕治さん、浅沼伸彦さんによるJAVA版
    http://www1.vc-net.or.jp/~ouio/jmj/index.html

他にも様々な優れたソフトウェアがありますので、JISで探してみて下さい。
    http://www.juggling.org/programs/

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